隊長日誌
下町の名店、神田の喫茶「AIKO」様の撮影。喫茶「AIKO」は戦後間もなくの開業で、当地神田須田町に移ってから50 年以上の歴史を持つ、下町の名物喫 茶店であり、「読売Weekly」掲載の「泉麻人の喫茶店物語」の第一回に登場したことも記憶に新しい。 その名店がオーナーの相子晴枝さんの年齢的なこともあって、いよいよ今月いっぱいで店を閉めることになり、本日はその記念の撮影。 お店の雰囲気にお似合いの初夏の夕暮れ時を待っての撮影とさせていただいた。
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間口の狭いお店の入口ドアの開口部から、来訪者の目線で18 ミリレンズでお 店の全景をいっぱいに写しこむ。わずかな窓からの採光とお店の照明に露出を まかせて、この店の歴史と空気が画面に宿ることを念じて、静かにレリーズを押す。 創業当時は『真っ白だった』とオーナーが話す天井は、長年のコーヒーと煙草 の作用で見後に飴色となっている。その一番奥の定位置で今日も静かに客を待 つ老オーナーが、あたかもこの空間に溶け込んでいるかのようだ。 “本物はかくも雄弁である” …本日の撮影後は、今日のお決まりの如き画像処理など何もしない。(隊長)
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