トリミングの問題「メニューカレンダーの制作から」
当社の新商品でもある「カレンダー館」の制作が始まった。
今日は食べ物やさんのカレンダーの見本作り、トリミングの問題について改めて思うので記しておく。
この企画は通常のメニュー撮影の画像の転用で、頁モノのカレンダーを作っていく提案だが「写真の掲載サイズによってかくも違うものか?」というのがよく分かる。
通常配布用のメニューでしのぎを削っている業界では限られたスペースに「少しでも多くの商品を」と求められ、我々カメラマンも「小さい掲載サイズでも、分かりやすい写真を」と思うのだが、元来人間の欲求には食べ物ならその使用時のサイズ=食べるサイズで見ることが一番好ましい。
「食べるサイズ」というのは難しいが、出来れば原寸大… いやそれ以上である。
あまり論じられてないが、これは食べ物が遠くにあると、それほど食べたい欲求は起きないが、目の前のお膳にあれば食べたくなり、端で口の前に突きつけらられれば「食べるな!」と言われても思わず食べてしまう。という人間の愚かな生物的本能を考えてみればよく分かる。(その距離になれば「食べるな!」と規制された方がより食べたくなる?よって食べられない写真は、大きいほうがいっそう効果的☆となる?)
筆者の持論ではこの距離感は食べ物の放つ匂いの伝播力にもよるところが大きく、例えば鰻はかなり遠くからでも匂ってくるのでそんなに大きくなくてOK、焼肉系もこれに準ずる。(=近すぎると満足してしまう)
蕎麦系は距離感が多様でカレーうどんなどはかなり「引き」に強そうだし、鴨・肉などの南蛮系は中間距離、掲載のおろしそばなどは近距離系だろう。
寿司などは近距離系の最右翼でどんなに高級な寿司でも通常のメニューのサイズでは蝋細工の見本とあまり変わりなく、唇に触れんばかりのニアミス距離がよろしかろう。
これはこれらの食べ物が固有にもつ適切な“鑑臭距離” によるもので、素材の優劣はともかく調理や撮影の職人技術レベルは軽く超えるところにある。厳然としたこの理論に料理でも学術分野でもいっこうに関心がなされないのが嘆かわしい限りだが、先端の研究とはそのようなもので当研究所では今後もその深遠なテーマに取り組んでいくものとする。
あっ、鰻屋は別か?…