デジタルカメラはどう写るのか?(続き) 

*デジタル画像の特長

前述のようなCCD の配列や構造ゆえに、デジタルカメラでは本来無い偽色やモアレ、フレアが発生しやすく、またそれらを緩和する目的のローパスフィルターなどの影響でそのままでは鮮鋭さを欠く傾向がある。デジタル画像はその生成のしくみゆえに、宿命的な弱点を内包している訳だ。

Moire1.jpg DSCF0441.jpg モアレのしくみと実際(拡大します)

ゆえに画像撮影時のカメラ内での画像生成処理や、その後のパソコン上での調整作業も多くはこの宿命を緩和、補完するのが目的となる。デジタル画像の調整前にこのこと頭に入れておくとおくと、調整の限界や方法についての理解が進み易い。

尚、RAW 画像はRGB 全チャンネルの演算前に描きだされた“生” の画像で、そのままでは使えない訳だが、反面ソフト上での展開時における演算作業そのものを調整するため、色や明るさに対する調整域が極めて広いものになっている訳だ。

*ベイヤー型以外のCCD の試み従来のイメージセンサーは、1 つのピクセルで1 色しか取り込まないため、残りの2 色は複雑な計算によって補間する。そのため画像のディテールが失われると同時に偽色が発生するなどの欠点がある。

一般的には避けられないこの宿命構造には蓋をして、その対処療法でしのぎを削り商売に勤しむメーカーが大半の中、この哲学的な宿命に真っ向から取り組む、果敢なパイオニア精神溢れる少数メーカーもあるようで、例えばシグマSD10 で採用されているFoveon X3 ダイレクトイメージセンサーは偽色やモアレの発生を抑えるという。(図はシグマ社のHPより転載)

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シグマSD10 で採用されているFoveon X3 ダイレクトイメージセンサー 偽色やモアレの発生を抑えるという

またそこまで真っ向切った勝負とはいえないが、フジS シリーズに搭載のスーパーハニカムCCD のようにベイヤー配列を大小二種類の八角形構造に置き換え、その欠点を緩和していこうという現実的に歩留まりのよい路線を提唱するメーカーもあり、筆者も好みとするところである。“ネガフィル並みの広ダイナミックレンジ” が売りだが、偽色やモアレの低減にも有利な構造といえる。

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フジS5Pro に搭載のスーパーハニカム

CCD “ネガフィル並みの広ダイナミックレンジ”が売りだが、モアレの低減にも有利な構造