Adobe からのBad News! Photoshop Elements 7

今日、Adobe社からの一通のメールによる案内があった。
本日発表!新バージョンPhotoshop Elements 7 & Premiere Elements予約キャンペーン実施中!AdobeR Photoshop Elements 7では、写真全体または特定部分の補正がこれまで以上に簡単に行えるようなりました。また、写真合成ツールやガイド付き編集機能もさらに充実。あなたの写真を最高の見栄えに仕上げることができます。…とある。ついに来たか!? 怖れていた(怖れてもしょうがないが)バージョンアップである。しかもElementsではバージョン5、6、7とほぼ一年ごとの更新であり、いささか早すぎて迷惑 といいたところが本音である。

怖れていてもしょうがないので、もう少し内容を読んでみよう。

>Photoshop Elements 7 & Premiere Elements 7では、プロ並みの写真やムービーが驚くほど簡単な操作で作れるようになりました。今までにないクリエイティブな作品作りにチャレンジしてみませんか。
アマチュアには結構だが、こちら(プロ)には堪らない。>見たい写真をすばやく探せる、テキスト検索ボックス
見たい写真を探すのに苦労したことはありませんか?Photoshop Elements 7に新たに追加されたテキスト検索ボックスを使えば、名札や日付、キャプションなどの情報をキーワードとして入力するだけで、目的の写真が瞬時に見つかります。撮りためた写真をすべて取り込んでおくだけで、どんなに大量の中からでも、見たい写真をすぐに探し出すことができます。
>迷わず試せるステップバイステップの操作ガイド

ごみの除去や明るさの調整を行いたいけど、どうすればいいかよくわからないときはありませんか?Photoshop Elements 7は、写真の補正から特殊効果の追加まで、操作方法をステップに沿ってガイドしてくれるので、やりたいことが迷わず試せます
元々おせっかいだったブラウザや不用なガイドがますます調子に乗ってきた感じか?>なぞるだけで目を見張る特殊効果、スマートブラシ
特殊効果を選んでブラシでなぞるだけで、あっという間に楽しい写真を作れます。用意されている特殊効果は色調の調整から多彩なテクスチャまで50種類以上。ワンランク上の写真を作成することができます。
>ポートレートもプロの仕上がり、ぼかし(表面)
エッジやディティールを際立たせながら、被写体の表面をソフトに仕上げるぼかし(表面)フィルタが新しく加わりました。手軽にプロ並みのポートレート写真を作ることができます。
なんだかプロには居た堪れない感じだ。
>撮影ミスをワンステップでカバー、タッチアップ補正
歯を白くしたり、空を青くしたりといった、今まで何ステップも必要だった修正作業が、1度のクリックやブラシ処理で可能になりました。たとえ撮影ミスがあっても、数秒でカバーして思い通りの写真に仕上げることができます。
>通行人や車を簡単に削除、Photomerge Scene Cleaner

通行人や車が入り込んでしまっても、Photomerge Scene Cleanerなら簡単に修正できます。同じシーンの写真が数枚あれば、動きのある被写体でもブラシをなぞるだけで消し去ってくれます。まるで初めから写ってなかったかのような自然な仕上がりです。
これって策謀だろう? 堪らなくなってきたのでニュースのサイトはもう閉じてしまった。しかし、こんなのがユーザの求める方向なんだろうか?Googleのストリートビューとかも問題になっているが、人間性の哲学を忘れた小手先主義の技術革新が横行していくのには疑問を抱かれずにはおれない。
今日は頭に来たのでモウ寝るが、いったい世間からどのような反応が出るのだろう?そういった部分が唯一楽しみ、といった情けない心境である。

「デジタル画像の特徴」明日からのPENTAX 講座の予習中

ということで明日からのPENTAX での「PhotoshopElements6 講座応用編」の開始に備え予習している。
前述のように新たな“教材入手” は不首尾終わったので、『今回も、前回同様の教材写真で行きま~す』と前日担当のN さんには伝えた。昨年秋から始まった動講座では全てアシスタントを務めていただいているのでベテランコンビということになるが、もちろん筆者よりずうっとずうっと若く(言うまでもないか)キビキビと機転も利くPENTAX FOCAL きっての才媛である。
加えてたいへん勉強熱心なので、もしかするとPhotoshopElements に関する知識は講師である筆者を凌駕しているかも知れない。そんな訳で講師の責任を果たすべく予習である。
三日間の講座の冒頭、本ブログでも以前述べた「デジタルカメラはどう写るのか?」について述べようかと思うが、どこかでこの1 ~ 2 週間気になっている「JPEG とRAW の撮影フローの違い」について述べてみようと思う。
「JPEG とRAW の撮影~調整フロー …JPEG とRAW の撮影からの本来の手順を思い出しておこう!」などという感じか?
JPEG 撮影の場合は、シャープネス・サイズ/ 圧縮率などを事前に決めた上で(階調設定や色空間も事前事項か)、撮影時には露出とホワイトバランスに注意を払って撮影し、撮影後のデータには補正などの手を加えないのが基本。撮影時に全ての設定において完璧を目指し、撮影後に手を加える必要がないように追い込む、調整はしたとしても最小限に、最適カットをセレクトするのが、JPEG 本来の使い方ともいえる。
反面RAW データの場合はJPEG の事前決定事項は全て後処理でも構わない。逆に言えばRAW データを使用することによって判断が難しい現場でのミスを減らし、最終的な品質をより高めることができる。
撮影時に留意するべき点は露出のみだと言っても良い。
これらのこと「画像処理講座」だからといって何でもかんでもゴチャゴチャにならないよう、今回は特に留意を払いたいと思う。

…果たして上手くいくか?

大和路の撮影で思ひしこと

「JPEG の撮影ブラケティング」

盆前に奈良、天理~明日香 と久しぶりにプライベートな撮影行に出かけてきた。
今月後半から始まるPENTAX での「PhotoshopElements6 講座応用編」の作例写真の“仕入れ” ということもあってカメラはK100D Super1 台、レンタル自転車の前カゴにバックをつっこんでの気楽な撮影である。
今度は講座の調整練習用の教材入手が目的であるからほとんどがJPEG 撮影、しかもソフトでの調整の余地を残したコマを得るのが目的であるからカメラ側でのブラケティング撮影と前回ブログに記載したのとはまるで逆の撮影となった。

結論から言うと、これが実に楽しい!

撮影地が侘び寂び溢れる大和路ということもあいまって、PENTAX のカメラ特有の画質に見事にマッチ、撮影後に下手な画像処理の入り込む余地のない上がりであった。

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作例はいずれも前後一段という大胆なブラケティングを使用しているが、BROWSER 上で展開してちょうどポジを判定するがごとく、久々に楽しい前別作業が行なえた。筆者の思うところそれぞれのコマに単なる適正露出の概念を超えた味わいがあり捨てがたい。ましてや(被写体とカメラのマッチングにもよるのだろうが)この後、姑息な調整などこの味わいを超えられるはずもない。考えても見れば、これこそ(=カメラ設定と露出に注意を払い、後工程の画像処理をしない)JPEG 撮影の醍醐味であろう。
ということでPENTAX のカメラと画づくりに感謝といったところであるが、肝心の画像調整用の教材作りにはまったく不首尾な結果となってしまった。
…世の中は上手くいかないものである。

トリミングの問題「メニューカレンダーの制作から」

当社の新商品でもある「カレンダー館」の制作が始まった。
今日は食べ物やさんのカレンダーの見本作り、トリミングの問題について改めて思うので記しておく。
この企画は通常のメニュー撮影の画像の転用で、頁モノのカレンダーを作っていく提案だが「写真の掲載サイズによってかくも違うものか?」というのがよく分かる。
通常配布用のメニューでしのぎを削っている業界では限られたスペースに「少しでも多くの商品を」と求められ、我々カメラマンも「小さい掲載サイズでも、分かりやすい写真を」と思うのだが、元来人間の欲求には食べ物ならその使用時のサイズ=食べるサイズで見ることが一番好ましい。
「食べるサイズ」というのは難しいが、出来れば原寸大… いやそれ以上である。
あまり論じられてないが、これは食べ物が遠くにあると、それほど食べたい欲求は起きないが、目の前のお膳にあれば食べたくなり、端で口の前に突きつけらられれば「食べるな!」と言われても思わず食べてしまう。という人間の愚かな生物的本能を考えてみればよく分かる。(その距離になれば「食べるな!」と規制された方がより食べたくなる?よって食べられない写真は、大きいほうがいっそう効果的☆となる?)
筆者の持論ではこの距離感は食べ物の放つ匂いの伝播力にもよるところが大きく、例えば鰻はかなり遠くからでも匂ってくるのでそんなに大きくなくてOK、焼肉系もこれに準ずる。(=近すぎると満足してしまう)
蕎麦系は距離感が多様でカレーうどんなどはかなり「引き」に強そうだし、鴨・肉などの南蛮系は中間距離、掲載のおろしそばなどは近距離系だろう。
寿司などは近距離系の最右翼でどんなに高級な寿司でも通常のメニューのサイズでは蝋細工の見本とあまり変わりなく、唇に触れんばかりのニアミス距離がよろしかろう。
これはこれらの食べ物が固有にもつ適切な“鑑臭距離” によるもので、素材の優劣はともかく調理や撮影の職人技術レベルは軽く超えるところにある。厳然としたこの理論に料理でも学術分野でもいっこうに関心がなされないのが嘆かわしい限りだが、先端の研究とはそのようなもので当研究所では今後もその深遠なテーマに取り組んでいくものとする。

あっ、鰻屋は別か?…

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DIGITABLE 七月定例勉強会 ーその3 ー 

またまた19 日のDIGITABLE 勉強会からの引用でデジタル初心者のための「レイヤーの研究」。ズボラな同作者によるものなで引用は一向に構わない。ご好評?なのかリクエストがあったので、抜粋して述べてみよう。

*レイヤーとは?

「レイヤー」とは透明なシートのことだ。複数のレイヤーを重ねると「アニメのセル画」のように1枚の合成画像として表示される。また、「レイヤー」パレットでレイヤーの上下関係を入れ替えると、表示画像の前後を入れ替えることができる。

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筆者のセルフポートレートによるレイヤー合成の説明
*レイヤーの効果

レイヤーは単純に切り抜いて重ねるだけではなく、さまざまな画像を重ねる「効果」が選べ、またその透け具合が「不透明度」の%で調整することが出来る。
さまざまな「効果」のうち、通常、比較暗/ 明、乗算、スクリーン、オーバーレイ、輝度などを覚えておくとよいだろう。

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調整レイヤーのマスク機能を使った部分補正
*レイヤーを利用した合成

レイヤー濃度や、さまざまな効果を利用すると手の込んだ合成作品が可能だ。実際に使用された作者のセルフポートレートの合成作品を見てみて、レイヤーの効果や機能を理解しよう。
これらの合成作品は10 年ほど前に当時のPhotoshop で苦労して作られたものだが、今日のバージョンとPC の作業環境なら、コツをつかめば厳密な切り抜きなどに苦労することなく、短時間で楽しく作業できる。
尚、作例はPhotoshop Elements 6 にて講座説明用に作業し直したものだ。

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元写真はシャープだがやや硬い印象だ
レーヤーの部分 処理で「深度の調整」効果を試みた

*調整レイヤー

今日のレイヤーには画像を合成するだけでなく補正するための機能も搭載されている。それが「調整レイヤー」だ。
先月の「Photoshop による基礎調整」では8bit のJPEG 画像に直接、「レベル補正」、「トーンカーブ」、「色相・彩度」を施したが、今日の作業フローでは調整レイヤー上でそれらの補正を行なう方が多い。調整手順は先月と全く同じだが、調整レイヤー上なら何度でも呼び出してやり直しや追加の補正が出来、また全体の効き具合の濃度も調節出来る。
それぞれの結果は、実データ上は画像の書き出し(統合など)にまとめて反映されるので、補正のやり直しによる画像の劣化も最小限に抑えられる。

*調整レイヤーによる部分補正
通常の補正機能と異なり、部分的に補正できるものも「調整レイヤー」の特徴だ。
適応部分のマスク機能を使用して、調整レイヤーを「黒」で描画すると、描画の濃度に比例しての補正が除外される。つまり、残った白やグレーの部分に補正が適応る訳で、マスクはあたかも適応の「フィルター」のような働きをする。描画は通常ブラシツールを使用して行なえばよいが、ブラシの径や濃度を上手く使えば、かなり大雑把自然な補正が得られる。

*レイヤー複製からの部分処理

通常のレイヤー機能のうち「レイヤーの複製」を使ってさまざまな調整が可能だ。「スクリーン」や「乗算」を使えば露出の調整に利用できるし、部分的にテイストの調整も出来る。作例では複製レイヤーを「ぼかし=ガウス」で大きくぼかし、画像の中央部のみをなだらかに切り抜いたもので、簡単な作業で「深度の調整」効果を試みている。

DIGITABLE 七月定例勉強会 ーその2 ー

前述した19 日のDIGITABLE 勉強会で平野氏が「色調調整後の色相彩度」について言及されてたので、当方の研究?分野でもあり、同勉強会のレポートから引用する。

*色調調整後の色相彩度

先月の基礎講座で高木氏が「レベルやトーンカーブ補正後に色相彩度を適用すると、(補正によって生じた)ヒストグラムの櫛抜けの改善に効果がある」と述べていたが、検証してみた。

080719_hirano_3.jpg 色相彩度によるヒストグラム櫛抜け現象の改善

①色相彩度のうち彩度を増加してみると、ヒストグラムの櫛抜けが埋まるのがわかる。

ヒストグラムの移動はあまり感じられず形はトーンカーブ調整時点に似たままのようだ。

②明度の変更ではどうなるか色相彩度の中の明度を増加してみる。

結果はトーンジャンプのままヒストグラムの山が移動するのみで、櫛抜けは埋まらない。

なぜ彩度の調整で櫛抜けが埋まるのか、画像の部分にポインターを置いたまま、HSB 情報を確認してみると、彩度が調整されると、それに伴って明度も微妙に調整されているのがわかる。彩度が変わると微妙に明度が変わる分、ヒストグラムの隙間を埋めるような形で色の変わった部分が出来て櫛抜けが埋まるのではないだろうか。実はトーンカーブの調整でも明るさだけでなく彩度も微妙に変更されてる。この二つは密接な関係にあるのだろう。

ちょうど再読していた、早川廣行著「フォトショップCS 色調補正」にトーンカーブの説明があり、各種説明の最後に必ず色相彩度を加えていた、その説明が初めにはなくなぜかわからなかったわけだが、後のページに以下のような説明があったので疑問解消できた。

「彩度の調整は、色を鮮やかにするだけでなく、レベル補正やトーンカーブで乱れた階調のトーンを補う役目も果たしているからだ。」

DIGITABLE 七月定例勉強会

毎月第三土曜日は恒例の勉強会“DIGITABLE” の開催日である。DIGITABLE とは会の創設にあたって造語?したもので、見え見えだが「デジタルが(分かる)出来るようになる」だけではなく、「デジタルで自分のable(ability)=能力・可能性が広がる」というのを目指している。2007 年の2 月から毎月開催し、早や一年半経過したが果たして各位のability は広がったであろうか?

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土曜日の1時から5 時まで4 時間の開催、内容は自分と日本写真家協会の平野正志氏が講師役を務めそれぞれ80 分ずつ(本年度は自分が「デジタル基礎講座」、平野氏が「Photoshop 研究講座」を担当)あいだの80 分は、十数名の会員の“月番” の持ち回りによる「事例発表」となっている。いわゆる一方通行の講座ではなく、全員参加の大学のゼミのような形式を目指しているのだが、大方の大学生同様、会員達にはこの発表当番が重荷のようである。当方のように人前で写真家業を営むようになってくると心臓にも毛が生えてくるのか、「“自己主張” 出来ないサークルなんて…」と思うが、特に初回発表するまでは何とかして逃げたいものらしい。しかし発表を終えられた方は皆晴れ晴れしくよいお顔で、恒例のアフター会の飲み会でも快活にされているのを見ると人間はやっぱりきっかけなんだとつくづく思う。

さて、今日の月番は川添武久氏。化学製品製造会社で感光剤(感光性樹脂)などを扱っているため、「感光性樹脂について」についての発表であった。
感光剤の歴史から最新分野まで興味深く聞かせていただいたが、氏も気にしてたように考えてみれば感光剤=アナログ技術そのものである。その辺はあまりお構い無しにそれぞれの真摯な発表を楽しむ、それがこの勉強会の良さでもあろう。

写真家高木大輔のDIGITAL 研究室

Photoshop Elements 講座 

新宿のPENTAX での「Photoshop Elements6.0 講座」が始まった。毎週1 回二時間の授業を3 週で1 クールという短期集中型の講座だが、昨年「なんとなく…」開始して以来、始めはこちらもPENTAX の会員さん達には無名で閑古鳥であったが、会を追うごとに参加者が増え8 クール目となり、ありがたいことに今回も募集定員15 名満員打ち切りの盛況である。

“当方の努力の賜物☆…” といばりたいところだが、むしろ会員さん達の熱心さに引っ張られた結果であり、当方も 講師よりずっと年長の会員さん達に毎回いい感じの刺激をたくさん頂戴している。上には90 歳前後の受講者もおり、いわずもがな並みの(失礼)御歳には見えない。教室でのやりとりも年齢差を感じるようなことは全く無く、教える側も教えられる側も好奇心旺盛な少年(少女)時代に戻っての

楽しいひと時である。このあたり、叫ばれている「生涯教育」のデジタル画像講座の有効性?を大いに感じるが…。

それはさておき、Photoshop Elements 講座である。

高機能高価格で専門家向けに特化しつつあるPhotoshop CS シリーズに比し、今日の一般的なデジタルカメラユーザー向けに特化した戦略商品として、大いに意気込みが感じられるが、正直少々とまどう面もある。

まず、意気込みゆえの?頻繁なるバージョンアップである。既にPhotoshop Elements5.0 にバージョンアップされたのを期に昨年講座が開始したのであるが、何ヶ月も経たないうちに6.0 にバージョンアップされてしまった。元来が“お買い得感” の強い廉価版ソフトであり個人個人ではさほどの出費にはならないが、講座開設用に投資したばかりのPENTAX さんなどの辛さは想像に難くない。

また、その多機能化ゆえの混乱と弊害もある。今バージョンから従来のスタンダード編集、クイック編集に加え、新たにガイド付編集が加わり、編集機能は豪華?三本立てとなったが、果たしてこじつけのオマケのようでその存在意味が未だによく解らない。教える側がこの調子ではたまったものではないが、幸いよくしたもので当教室に限っては年長の分別者揃いが故に、当方の「あまり必要ないでしょう…」

などとはなはだ頼りない説明も素直に受け止めていただいている。

 意図がよく分らん?ガイド付編集

もう一つ困るのは機能と“訳語” の不統一だ。だいたい前述のように「○○編集」モードなどといっているが、これはどうして「○○補正」モードとしないのか?

このあたりはあまり日本語を気にしない“お若い人” 向けの発想で、「行け行け!ドンドン…」という感じで翻訳作業が進められているのだろうか?こういうことには以外に引っかかる分別者揃いの当教室では「よく稟議が通ったなぁ?」などと溜息をついているが、そもそも「稟議」なんて発想がもう死後なのであろうか?…。

例によって長くなった、続きはまた後日。

デジタルカメラはどう写るのか?(続き) 

*デジタル画像の特長

前述のようなCCD の配列や構造ゆえに、デジタルカメラでは本来無い偽色やモアレ、フレアが発生しやすく、またそれらを緩和する目的のローパスフィルターなどの影響でそのままでは鮮鋭さを欠く傾向がある。デジタル画像はその生成のしくみゆえに、宿命的な弱点を内包している訳だ。

Moire1.jpg DSCF0441.jpg モアレのしくみと実際(拡大します)

ゆえに画像撮影時のカメラ内での画像生成処理や、その後のパソコン上での調整作業も多くはこの宿命を緩和、補完するのが目的となる。デジタル画像の調整前にこのこと頭に入れておくとおくと、調整の限界や方法についての理解が進み易い。

尚、RAW 画像はRGB 全チャンネルの演算前に描きだされた“生” の画像で、そのままでは使えない訳だが、反面ソフト上での展開時における演算作業そのものを調整するため、色や明るさに対する調整域が極めて広いものになっている訳だ。

*ベイヤー型以外のCCD の試み従来のイメージセンサーは、1 つのピクセルで1 色しか取り込まないため、残りの2 色は複雑な計算によって補間する。そのため画像のディテールが失われると同時に偽色が発生するなどの欠点がある。

一般的には避けられないこの宿命構造には蓋をして、その対処療法でしのぎを削り商売に勤しむメーカーが大半の中、この哲学的な宿命に真っ向から取り組む、果敢なパイオニア精神溢れる少数メーカーもあるようで、例えばシグマSD10 で採用されているFoveon X3 ダイレクトイメージセンサーは偽色やモアレの発生を抑えるという。(図はシグマ社のHPより転載)

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シグマSD10 で採用されているFoveon X3 ダイレクトイメージセンサー 偽色やモアレの発生を抑えるという

またそこまで真っ向切った勝負とはいえないが、フジS シリーズに搭載のスーパーハニカムCCD のようにベイヤー配列を大小二種類の八角形構造に置き換え、その欠点を緩和していこうという現実的に歩留まりのよい路線を提唱するメーカーもあり、筆者も好みとするところである。“ネガフィル並みの広ダイナミックレンジ” が売りだが、偽色やモアレの低減にも有利な構造といえる。

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フジS5Pro に搭載のスーパーハニカム

CCD “ネガフィル並みの広ダイナミックレンジ”が売りだが、モアレの低減にも有利な構造

デジタルカメラはどう写るのか?

…について、始めに考えてみる。考えてみればいったいどうやって写っているのが解らないくせに、平気で画像を撮っ

たりこねくり回している訳だが、いつの間にか物事の原理やしくみについては疑問も興味も持たなくなっている。

(大上段に「DIGITAL 研究室」などど立ち上げてみたものの、長年“写真業” をやっているだけで、デジタルの雑学には多少詳しくとも、技術者としての専門的知識は多分に怪しい。

まぁ当研究室はその辺にあぐらをかいて、所長の本人の自己満足と好奇心最優先で勝手に進行していくので、技術的に失望を感じる向きにはさっさと他の優良専門サイトに乗り換える事をお勧めする。)

少年期に「カメラってどうやって写るんだろう?」と不思議でたまらなく、家人の目を盗んではカメラの裏蓋を開けたり、空想の名作に空シャッターを切ったりしていたころの、あの好奇心と情熱☆!… そう、忍び寄る退廃と老化防止に好奇心と情熱を少しでも甦らせるために、当研究室は思いつくままに勝手に話を始めることにする。

…ところで

今日のデジタルカメラに使われる、CCD やCMOS は光の強弱を感じるだけで色に関する情報は持っていない(そうである)。

そこで一般的なデジタルカメラは、ベイヤー配列(格子状の配列=チェスの盤みたいになっている)のカラーフィルターを通してCCD が感光するしくみを採用している。RGB の各色の元情報が交互(正確にはR= 1:G= 2:B= 1 の比率だそうだ ※これはグリーンの情報がいちばん輝度を効率よく集められ、また人間の眼の感受性に近い為だそうである。

この辺についてはいずれ後述?)に並んでいるため、各色ごとの撮れたての画像は下の図のようにずいぶんと歯抜けたものになっている筈だが、例えばG チャンネルでは周辺のR とB 画素の情報から計算してRGB 全チャンネルの情報を持っ

た画像を作り出しているということだ。

と一口にいうものの、今日常用されているデジタルカメラは600 ~ 1200 万画素相当であるから一瞬のうちに大変な演算をしていることになる。下種な想像だが、某国の巨大マスゲーム場で600 万人が横3000 人縦200 人がRGB× 256

種の濃度のカードを一瞬のうちにかざしているようなものか?そのうちの二人に一人がグリーンの指令役で交互に並び、隙間のやつは前後左右の4 人のカードの濃度を見て中間値を判断してかざしているようなものだ。それが、一瞬で三色

分行われるのを上空で見ている指導者が“毎秒何コマ” という過酷さをしいて満足する(いや、まだ不満なのか?)という訳だ。

一昔前(デジタルの一昔は、ほんの二三~三四年である)は我々写真屋も「連写でバッファが煙を上げる」「夏はアイスノンで冷やしながら撮っています」などと嘘をついたり粋がっていたものだが、過酷な労働を架された結果急速に知力と体力を増した新型のカメラは少々のことでは熱も音も上げず、扇子やアイスノンで頭を冷やす必要が切迫したのはこちらとなった。

脱線ばかりして、肝心の中身の話が全く進まないうちに終業時間となった、開室早々から何ともマイペースである。

また後日!